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母の誕生日。めずらしく孝行でもしようかということになり、フジコ・ヘミングのソロリサイタルに連れて行った。

発売当日にとったわけでもないのに、いちばん前の席だった。位置的に手元はみえなかったけれど、音が近くて、フジコさんのため息さえも聴きとれた。

母は小さい頃からピアノをやっていたので、1曲目からフジコさんの異変に気づいていたようだ。

案の定アンコールで、「多すぎる連日のリサイタルのおかげで、今日は大変疲れています。うまくいく日もあるけれど、チョンボの日もあります」とのコメント。それでもラストの「ラ・カンパネラ」はゾクゾクした。

終演後に近くのホテルのレストランの食事に連れて行ったけれど、これまた値段のわりに激マズだった。クロスダイン、二度と行くまじ。

とはいえ、「ピアノのリサイタルとホテルのレストランでの食事」という、誕生日プレゼントとしての形は十分に整っていて、同僚に自慢できるネタができたようで満足していた。かかったお金はともかく、超近所で平日の夜にさくっと孝行らしきものができたので、楽でよかった。